キクロプスCYCLOPS 01

畸形!畸形!畸形!悲しきフリークスたちの壮絶な死闘!


 

キクロプスとは…
重度障害のため生存の望みを絶たれた新生児たちの形態のひとつである。
ギリシャ神話に登場する一ツ眼族の名にちなんでそう呼ばれるようになった。
                         (本編テロップより)

高校生のみゆきは、兄の亨の元で平凡な毎日を送っていた。
だが、女友達の不審死をきっかけに、その生活は一変する。
執拗につきまとうサングラスの男は一体何者?
悲しみと不安に苛まれたみゆきの肉体は、微かな変化を生じはじめる。
亨とサングラスの男の隠された過去とは?
男はなぜ、みゆきにつきまとうのか?
これから生まれてくる自分の子供に、亨は一体何をしようとしているのか。
フリークスとして生まれ、かろうじて人間の形を保って生きてきた者たちの、
壮絶な死闘がいま、はじまろうとしていた。

 

実はこの作品、発表当時は近くのビデオ屋に置いてなくて、観ることができなかったんですよ。
大の『バスケット・ケース』ファンである僕としては、何としても観ておきたい魅惑的な題材だったんですがね。
当時、中坊の僕は、自転車飛ばしてあちこち探し回ったんですが、どこにも置いてなくて、とうとう観ることができずじまい。
そのまま、時は流れて2012年。
中坊だった僕も、中年に変わり果てた頃、奇跡は起こりました。
 
ツイッターで知って視聴するようになったネットラジオ『純情!クリーチャー部』の鉄面あなざ部長から、「ビデオ屋サンセットの閉店セールでVHSを確保したので、よければ観ますか?」とのお知らせがあったのです!
もう狂気乱舞なんて生易しい喜びようではありませんでしたよ。
25年の時を経て、ようやく叶った『キクロプス』視聴…。
クリーチャー部には、この場を借りまして、心よりお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
 

さて、『キクロプス』。
本作は、後に超能力ドラマ『NIGHT HEAD』で一世を風靡する飯田譲二監督のデビュー作です。
あらすじで分かるように、非常に異色な内容。
ある博士の研究により、本来なら生存不可能とされた畸形児たちが、人間の姿に成形されて生きながらえ、やがて感情の爆発により、本来の姿への帰還を果たすというもの。
デヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』に登場する畸形赤子を彷彿とさせる設定に、異形ゆえの悲しみを加え、極めて奇々怪々に仕上がったビデオムービー。
 

キクロプス02

凄まじいの一語に尽きる畸形たちの造形。

はっきりいって、映画としての出来はいまひとつだ。
グズーの時にも言ったけど、この時代の作品には、何故か無理やりといっていいほど、女の子たちのキャッキャウフフがねじ込まれている。
『キクロプス』冒頭でも、みゆきの平和な日常を表現するため、他愛もないガールズトークが繰り広げられるのだが、作ってる人達もきっと、こんな場面に興味ないんでしょうね。
ぎこちなく、観ている方が気恥ずかしくなる乙女たちのキャッキャウフフ…。
アイドル全盛の時代という背景も影響してたんでしょうが、邪魔すぎる…。
また、阿藤海さん演ずるサングラスの男はいい雰囲気をだしてるんですけど、それ以外の役者さんがちょっとリキみすぎてコントみたいになっちゃってるのも気になりました。

しかし!
この映画の本領ともいうべき部分。
それは、他のいまいちな部分を補ってあまりあるものでありました。

最後に病院内で繰り広げられる畸形vs畸形のバトル。
全ては、そこに込められているといってもいいほどの壮絶極まりないものでした。
このラストバトルを観るためだけに、この作品を手にとっても、けして損はしないでしょう。

阿藤海演ずるサングラスの男が実は一ツ眼で、変形させながら腹部や背部から第三の腕を繰り出して亨を攻撃すると、おそらく結合双生児であった亨は、腕の中からメスを握ったもう一本の腕を出して反撃。二つにメリメリと分裂しながら奇怪な肉塊へと変貌を遂げつつ、サングラスの男を追いつめていく。
このような凄まじい場面を有する本作のSFXの総てが、わずか一か月で作り上げられたというから驚きである。
 

キクロプス03

一ツ眼阿藤さんの変身シーン。
映像ではバリバリメキメキと一気に変貌して、
うひーとなります。

キクロプス04

みゆきの兄・亨も元の結合双生児に戻り始めるが、
その姿はもはや肉塊といってもよいものだった。腕の中から腕が出るこの場面、フリークス映画の歴史に残ると思います。


 

戦い終わり、もはや原型とどめぬ肉塊へと変わり果てた亨。
エレベーターから転がり出て、みゆきの隣に倒れ込むのだが、この二人の場面がグロテスクであるにも関わらず、儚く美しくも見えるこの不思議。
ラストに産まれ出た亨の子供も、おぞましい畸形クリチャーでありながら、フリークスたちの最後の希望のようにも見えるところなど、若き鬼才・飯田譲治監督のセンスを感じさせる。
 

キクロプス05

横たわる畸形の兄と、同じく畸形の妹。
グロテスクだが物悲しく、心に残るカット。


 

先に紹介した『バイオセラピー』が「本当は怖い特撮怪人」モノだとするならば…
今作は、「本当はエグイ改造人間」モノだといってもいい…
グロテスクで惨たらしいスプラッター映画の形態を取りながら、その内側には、日本で昔から親しまれてきた特撮ヒーローものの要素が数多く取り入れられている。
現在では、このような畸形映画を作ることは難しいかもしれないが、グズーと共に、ぜひともリメイクして欲しい作品のひとつだ。
飯田譲治監督は今作の次に、爆風スランプ主演のホラーコメディ『バトルヒーター』を撮っており、こちらは荒削りだった今作とは打って変わり、実にこなれた上手い演出で楽しませてくれる。合わせてお楽しみ頂きたい二作品となっております。

というわけで、今作『キクロプス』も、ビデオ屋の中古コーナーでみかけたら、即ゲットをおすすめします。
何度も言いますが、エレベーター内の死闘で、腕の中から腕がでるシーンは、畸形映画の歴史に残る名場面ですよー。

レッツ、フリークス!(・▽・)
 

キクロプス06

最後にVHSのパッケージをぺたり。
内容のグロさを感じさせないあっさりしたデザイン。


 

さてさて、三本続けてご紹介した『バイオセラピー』『GUZOO 神に見捨てられしもの』『キクロプス』、いかがだったでしょうか?
こんな、とんでもない作品が存在をしていたことを、ホラー映画好きのみなさんは、どうか覚えておいてあげて下さい。
その記憶が、いつかどこかで、新たなスプラッター映画として結実する日がくるやもしれませんから。
では、ここで一発歌い上げて終わりたいと思います。
 

あぁ、80年代邦画スプラッター
わが人生に咲き誇りし最大の花たちよ
遠き青春の夢の中、紅あかと飛び散る鮮血のしぶきよ
きみは、わがこずかいを減らす萌えであった
内臓のはみ出る音がきこえるか、青春のざわめきが
おお 思い出す者もあるだろう
自らの青春のありし日を・・・
(from 切株と血の歌)

 

Written by るちお[@LucioFulci74](副部長)

 

キクロプス CYCLOPS(1987)

上映時間:52分
製作国:日本
監督:飯田譲治
脚本:斎藤久志,飯田譲治
特殊効果:國米修市,鈴木豊
出演者:長谷川真弓子,阿藤海,佐野和宏,近藤芳正,
東野庸子

 
 

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ちまつり!スプラッター部 について

ちまつり!スプラッター部(略称:ちまスプ)は、スプラッター、スラッシャー、スリラー映画が好きなひとのための部活動です。 絶賛部員募集中!! 詳しくは「ちまスプとは」をみてね。

1件のフィードバック »

  1. ANDREA BIANCHI より:

    L’ha ribloggato su LOW BUDGET NIGHTMARESe ha commentato:
    Arigatou!!! Any suggestion to where to find this eiga?? tasukete!

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