隣の家の少女
 

みんな大好き、ジャック・ケッチャム
実話を基に描かれたっていう、彼の代表作の映像化なわけで。
かのスティーヴン・キングをして、
「20年以上前に『ヘンリー』を観て以来、初めての本格的にショッキングなアメリカ映画
と、いわしめた作品です。

 

1958年。ある夏の日に、12歳の少年デヴィッドは一人の少女メグと出会った。
彼女は両親を交通事故で失い、その際の後遺症を抱える妹スーザンと共に、
デヴィッドの隣家の叔母ルース・チャンドラーのもとに引き取られてきたのだ。
笑顔の美しい少女メグに心惹かれるデヴィッド。
だが「チャンドラー家」と家族のような付き合いをしていた彼はやがて、ルースが
姉妹を折檻していることを知る。次第にエスカレートしていくルースの行為に、
デヴィッドは戸惑いを覚えるのだが......

 

【楽しめるかも】

【楽しめないかも】

  • すっきり終わらないといらっとしてリモコン投げちゃうひと
  • テンポのいい映画じゃないと飽きてねちゃうひと
  • ファニーゲーム』や『es[エス]』をみてしばらく立ち直れなかったひと

 

隣の家の少女5作品全体から漂う50年代アメリカのノスタルジックな雰囲気と、無垢な少年時代の終わりを描いた様子は『スタンド・バイ・ミー』をおもわせるんだけどね。この『隣の家の少女』は、さらにその暗部を暴き出していて、残酷さと悲惨さに満ちて、切なさに胸が痛くなる。

監督はグレゴリー・M・ウィルソン
ドゥ・ザ・ライト・シング』『セントアンナの奇跡』のスパイク・リー監督からの後押しで劇場用映画の演出家になった、ニューヨーク大学出身の監督です。なんと、これが監督2作目だっていうんだから驚きだよね。
脚本はダニエル・ファランズフィリップ・ナットマン
ファランズといえば、シリーズの中でもちょっと独特な立ち位置の『ハロウィン6/最後の戦い』の脚本家ですね。
そしてナットマンは、クライヴ・バーカーに「いきいきとした新奇の才能」と評された『Wet Work』が、1994年ブラムストーカー賞処女長編賞にノミネートされたホラー作家ね。
重厚な物語が得意な二人の練り上げた脚本は、戸惑いと良心と恐怖心に葛藤する主人公の心理を、緻密かつ繊細に描きだしてる。
さらに、子供が導き手である大人によって、その価値観と倫理観を歪められていく様子もとても丁寧に描く。

隣の家の少女1叔母のルースの家に引き取られたメグとスーザン。二人はルースから、ことあるごとに因縁をつけられて暴力を振われる。
叩かれ、つねられ、人が見ている前でパンツを引きずりおろされては尻をひっぱたかれる。熱したピンで体に文字を彫り込まれることもあった。次第に性的虐待へとエスカレートしていく仕打ちに、メグは身も心も衰弱していく。
暴力描写は、必要最小限に抑えられていて、直接的な描写はあんまりない。でも見えないからといって、暴力がないわけではなくて、観てるこっちはその場で起きているだろうことを想像してしまうのよね。得てして頭の中で想像することの方が、リアルで極端だったりするわけで。

隣の家の少女3原作ではねちっこいくらいに描かれていた心理描写。こちらではだいぶあっさり。
その意味では痛々しさが薄れて原作よりは観やすいけど、肝心の大人側の心理描写も少ないので、ルースがただのきちがいおばさんに見えてしまうのは、ちょっともったいない。
痛々しい程の残酷さを描いた作品なので、そこに注目しがちだけど、作品中で語られるセリフ「最後に何をするかが一番大事」からもわかるように、行動を起こす勇気にテーマを置いてるっていうことも意識したいよね。
これは原作でテーマが置かれる「傍観者に罪はあるのか」という所の先にあるものなわけで。
威圧的な大人への恐怖心と両親への引け目から、なかなか助けを求めることができず、傍観者として関わってしまった恐ろしい行為。どうしてもっと早く行動しなかったのか、その後悔の念が主人公の心に重くのしかかる。
自分より力のあるものに抵抗することは恐怖だ。でも時として、すぐさま行動しないと取り返しのつかないことになる。
小さなことでもいい。もしかしたらそれが、起こり得る最悪の事態を回避するきっかけになるかもしれないから。

隣の家の少女2そんな、深いテーマと50年代アメリカの田舎独特の残酷さを描いたこの作品。
原作とは切り離して、ぜひ観ていただきたいですね。
ねちっこい不快感の皮をかぶった正義感の作品なので、どちらかといえば社会派映画がすきなひとにぴったりだとおもうの。

物語は、大人になったデヴィッドの回想として描かれる。
この大人のデヴィッドを演じるのがウィリアム・アザートン。環境庁からやってきて、せっかく捕まえたゴーストを解放するいけ好かない役人、ホリーにぶんなぐられた傲慢なバカアナウンサーで有名だよね。憎まれ役が多いけど、この作品ではなかなか好印象。

そういえば、子役たちだけど、ボディダブルなしに撮影に挑んだんだってね。てことは、目の前に吊るされるボロボロの女の子に、いろいろな戸惑いを感じつつ体当たりで演技をしたんだろうなぁ。

だからこそのリアルというのか、この作品に登場する子供たちの様子には、なにか鬼気迫るものを感じましたとさ。

隣の家の少女4
 

Written by はるひさ[@haruhisa1212](部長)
2011年8月4日 ブログ掲載

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