《'90 東京ファンタスティック映画祭 正式参加作品》《'90 アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭招待作品》受賞こそしなかったものの、 観客・審査員に喝采をもって讃えられた大怪作。

《’90 東京ファンタスティック映画祭 正式参加作品》
《’90 アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭招待作品》
受賞こそしなかったものの、
観客・審査員に喝采をもって讃えられた大怪作。

 

“その昔、地球が冷却を始めて間もない頃、
おぞましい植物や怪獣が繁殖し、星空の下で食料を奪い合っていた…。
その昔、遠いアフリカの地で最初の生命体が誕生した。
以降、あらゆる種の生命が生まれる。
唯一の生命体を除いて…。
それは僕だ、僕はひたすら待ち続けていた…僕自身の誕生を…”

 

原初の地球。恐ろしく壮大な導入部。

原初の地球。恐ろしく壮大な導入部。

 
溶岩煮えたぎる地球創生の映像に被さって、赤子邪神のこんなモノローグで始まる『ベイビー・ブラッド』。
初めて観た時は、そのオープニングのあまりの格好良さに鼻血が吹き出ました。
長い間DVD化されることなく、苦渋の日々を過ごしてきましたが、2013年7月、IVCのVHS発掘隊レーベルからDVDが発売。
先日、喜びに滂沱の涙を流しながら、十数年ぶりの鑑賞を果たすことができたのです。
 

サーカスの娘ヤンカは団長の愛人。暴力で縛りつけられる生活がいやで、スキあらば出て
いきたいと願っているが、それもままならない。
そんなある夜・・・。
アフリカから運ばれてきたばかりの豹の体が突然炸裂!
グチャグチャの木端微塵。

グチャグチャの木端微塵。

獣に襲われたと思った団長は、 団員たちと付近を捜索するが何 も見つからない。しかし、豹の 身体を突き破って飛び出したヒ ル状の生物は、まんまとヤンカ の眠るトレーラーハウスに忍び 込んでいた。 ベッドに潜り込み、ヤンカの体 内へと侵入する謎の生物。 自分の身体の異変に気付き、妊 娠していることを知ったヤンカ は、団長の目を盗み、こっそりとサーカスを去るのだった。
映画史上最凶の妊婦、ここに爆誕!

映画史上最凶の妊婦、
ここに爆誕!

1カ月後・・・。 安アパートで暮らすヤンカの元に、居場所を突き 止めた団長がおしかけてきた。 お久しぶりのセックスが始まると思いきや、隠し 持っていた包丁でいきなり団長を刺すヤンカ。 その時、お腹の中の胎児が叫んだ。 「さぁ、早くその男の血を飲んで!」 「そんなこと出来ない!」 「血をくれないなら、  お腹を裂いて外に出ていくよ!」 求められるまま、無我夢中で団長の血をすする ヤンカ。 恐怖と絶望のあまり、川に飛び込んで自殺を図 るが、死ぬに死に切れない。 「死なないでヤンカ、ぼくはただ生まれたいだ  けなんだ」 「生まれてどうするの?」 「50億年かけて進化し、人類にとって代わるんだ。その時、僕はあなたのことを  思い出すよ」 そうして、養分となる血を求めて、殺人妊婦と化したヤンカと、太古の昔から誕 生を待ち続けてきた魔物胎児の、血にまみれたマタニティライフが始まった。

 
容赦ない描写で定評を得る近年のフランス・ゴア映画。その先駆けともなった原点的な映画が今作だ。
唐突で激しい残虐シーンが次から次へと展開し、チンコの先ならぬ、血のりの乾くヒマすらない凄まじい描写の連続に、思わず笑いが込み上げるほどだ。
そんな異色スプラッタ・コメディたる本作最大の見所は、何と言ってもかけあい漫才のごとく繰り広げられるヤンカと胎児の会話だろう。
「血をくれないと腹を食い破っちゃうぞ!」
「そんなことするくらいなら自殺してやる!」
…初めこそいがみ合う母と胎児ですが、出産に向けた殺人行脚を続けるうちに、お互いを大切な存在として認識していきます。
その過程は、まさにバディムービー。

母子の会話は50億年の人生設計から 男の好みまで多岐に渡る。

母子の会話は50億年の人生設計から男の好みまで多岐に渡る。

 
エロいことしか頭にない男どもに振り回され、お疲れ気味の母ヤンカに、お腹のクリーチャー胎児が「男なんてあんなもんだよ」と慰めの言葉をかけたりするの(笑)。

この赤子、なかなかコミュニケーション能力が高くて、色々と母ちゃんにアドバイスしたり、男の好みを聞いたりしちゃう。

母子行くところ、死体の山が築かれる。

母子行くところ、死体の山が築かれる。

「ヤンカはどんな男が好き?」
「うーん、不幸な男かな…」
「ああ…不幸な男って知的だもんね」
「何で?」
「動物は不幸を感じないから」
なんという哲学的な受け答え(笑)

また、餌食になる男とのセックス中・・・
男「ちょ…中でなんか当たってるんですけど!」
イチモツの先が赤子ちゃんにペチペチ当たってるんでしょうね。終了後、キッチンで水を飲むヤンカに赤子が言います。
赤子「あれってハラハラするけど楽しいね…ちょ、タバコはやめてよ、妊娠中でしょ?」
ヤンカ「うっさい、このナマコ…」
さらに母ちゃんは赤子をナマコ呼ばわりするし、もう最高です(笑)

このヤンカと赤子の関係なんですが、「寄生獣」におけるシンイチとミギーに非常によく似てるんですよね。
だから、殺人シーン以外も彼らの会話が面白くて、けして退屈することはありません。どれほど血にまみれていようと、異生物との交流はいつだって僕らの心をトキメかせてくれますから。

史上最も凄惨な出産風景。

史上最も凄惨な出産風景。

 
相入れないはずの者同士が、いつしか互いを認め、必要とし、その関係がどう発展していくのかを見届ける…それこそがバディムービーの醍醐味ってもんです。

やがてヤンカは赤子を出産。
ついに、赤ちゃんが外界に姿を現す。
 
以下は監督のコメント・・・
「カーペンターが南極の犬を使ったように、私はサーカスの豹で異生物の寄生を描いた。ラストで怪物の正体を明かすべきか葛藤したよ。観客の想像に委ねようとも考えたが、これは血を見せるべき映画だ。遠慮なく盛大な惨劇を演出した」。
ありがとう監督ぅ!
ちゃんと見せてくれてありがとぉぉ!!

やっぱり邪神系だった赤子ちゃん。

やっぱり邪神系だった赤子ちゃん。

赤子ちゃんのデザインは、この映画が紛れもなくクトゥルフ神話の一端であることを如実に示しています。

「僕、生まれたくないな…
ずっとヤンカのお腹の中にいたいよ」
そんなことを赤子ちゃんが言い出すほどに深まったお互いの関係。
だが、旅には必ず終わりが訪れます。

目的地「海」へと向かうバス内で、生まれたての赤子ちゃんは早速、運転手を捕食開始。
阿鼻叫喚のさなか、ヤンカは運転手に代わってバスのハンドルを握る。

献血車を強奪したり、救急車内を肉片まみれにしたり、バス内を地獄に変えたり、別の意味で乗り物スキルが高いヤンカさん。

献血車を強奪したり、
救急車内を肉片まみれにしたり、
バス内を地獄に変えたり、
別の意味で乗り物スキルが高いヤンカさん。


 
ここで一瞬…ほんの一瞬だけ、ヤンカと赤子がアイコンタクトで通じ合うんですよ。
その一瞬のカットで、お互いがこれまで築き上げてきた絆といったものが表現されてて、ほんと素晴らしいの(泣)
 
仲良し母子なので、 こんな生まれ方はさすがにしません。

仲良し母子なので、
こんな生まれ方はさすがにしません。


 
いかがです?
クトゥルフ風味の残酷マタニティ・ムービー。
ようやくDVD化されたこの機会に、一度ご覧になってみませんか?
楽しくて、エゲツなくて、最後にちょっぴりシンミリできる、イイ映画ですよ♪
 
VHS版のパッケージ。

VHS版のパッケージ。

 

この度、めでたくもIVC「VHS発掘隊レーベル」さんから リリースされたDVDは、画質もまずまず。 映像特典など一切ないシンプル仕様ながら、 「イタリアンホラーの密かな愉しみ」の 著者・山崎圭司氏が寄稿しているリーフレットは 読み応え充分で嬉しいおまけだ。

この度、めでたくもIVC「VHS発掘隊レーベル」さんから
リリースされたDVDは、画質もまずまず。
映像特典など一切ないシンプル仕様ながら、
「イタリアンホラーの密かな愉しみ」の
著者・山崎圭司氏が寄稿しているリーフレットは
読み応え充分で嬉しいおまけだ。

 


01

ベイビー・ブラッド(1990)
[原題:Baby Blood]

上映時間:89分
製作国:アメリカ/フランス
公開情報:日本劇場未公開・ビデオ発売
監督:アラン・ロバック
製作:アリエル・ゼトゥン,ジョエル・マルベール,イレーヌ・ソーム
脚本:アラン・ロバック,セルジュ・キュキエ
撮影:ベルナール・ドシェ
音楽:カルロス・アチアリ
出演:エマニュエル・エスクルー,ジャン=フランソワ・ガロッテ,
フランソワ・フラピエール,レミ・ルーバッカ,クリスチャン・シニジェ,
ティエリー・ル・ポルティエ,ロゼリン・ジェスロ

 

【ベイビーブラッド・トリビア】

13

  • 発売されたVHSには、字幕版の他に「松坂季実子爆笑吹替版」が存在する。当時はいろいろ顰蹙を買ったりもしたが、今となっては貴重な一品となっている。

 

14

  • 今作には、何と18年後に作られた続編『LADY BLOOD』がある。前作から一転、何故かヤンカが女刑事なっていて、続発する人喰い殺人事件を追うというストーリーに代わってるいる。評判は大変悪かったそうな。続編の監督はジャン・マルク・ヴィンセント

 

 

Written by るちお[@LucioFulci74](副部長)

 

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