良作を多数送り出してきたエンパイア・ピクチャーズが、 全盛期にヒョッコリと産み落とした暗黒寓話の傑作

良作を多数送り出してきたエンパイア・ピクチャーズが、
全盛期にヒョッコリと産み落とした暗黒寓話の傑作

 

チャイルド・プレイ』『パペット・マスター』が大成功したおかげで、
すっかりひとつのジャンルとして定着した感のある人形ホラー。
中でも、絶対忘れてならない名作が、この『ドールズ』である。


 
ノスタルジーを刺激するレトロな作風で、いまも多くの者に愛される本作。
僕なんか『デモンズ’95』と一緒に墓の中まで持って行きたいとさえ思ってるくらいでして…。
もっと多くの人に観てもらいたいのに、最近は “ドールズ”でググっても、北野映画ばかりがヒットして、紛らわしいったりゃありゃしな…おっと…ゲホンッゲホンッ…まあ、それはいいとして…。
あらすじは、こうだ。
 

嵐の夜、少女ジュディとその家族は、車が立ち往生して、近くにあった洋館に駆け
込むハメに。この一家、パパは再婚したばかりで、金持ちである継母に頭が上がら
ない。継母は、せっかくの旅行に何でコブ(ジュディ)がついてくるんだと終始不機
嫌。うしろの席で熊のヌイグルミを抱っこする幼い娘は、もはやこの夫婦にとって
邪魔者でしかないという、まったくもって残念な親たちであった。
館に向かう途中も、ジュディはボーっとするなと叱られて、大切な熊のテディを継
母に投げ捨てられてしまう。
色ボケ欲ボケのパパと意地悪な継母、後部座席には天使がひとり(ジュディ)

色ボケ欲ボケのパパと意地悪な継母、
後部座席には天使がひとり(ジュディ)

館の地下室から不法侵入した残念親と、純朴な娘。 当然のごとく館の主に見つかってしまうが、二人暮らしの老夫婦は一家を追い出す でもなく、あたたかく迎え入れてくれた。
穏やかで品が良く、 それでいて、どこか妖しい老夫婦。

穏やかで品が良く、それでいて、どこか妖しい老夫婦。

館の中は、どこもかしこも 人形で一杯。老夫婦は、長 い間この館で人形作りを生 業にしてきたのだという。 父と継母は、早く部屋にい きたいとブツブツ。お人形好 きのジュディだけが大喜びだ。 そんなジュディを気に入っ た老夫婦。捨てられたテディ の代わりにと、ピエロのパ ンチ人形を彼女に贈る。 怪しいムードの中、ディナーをとっていると、新たな客が飛び込んできた。 見るからにアホそうなパンク娘二人と、ヒッチハイクで彼女たちを拾った心優しい 青年ラルフ。彼らも、この嵐で車が立ち往生したのだという。 ラルフとジュディはお人形をキッカケにたちまち意気投合。 一方、父と継母は娘を別室に追いやり、そそくさとベッドにしけこみたい。 パンク娘は、みんなが寝静まった頃、盗みを働こうと悪だくみ。
大きなお友達ラルフと、人形好きの少女ジュディには、とても優しい老夫婦。

大きなお友達ラルフと、人形好きの少女ジュディには、とても優しい老夫婦。

それぞれの想いをよそに、各自部屋に案内されたはいいが、金目のモノを物色しよ うと部屋を抜け出したパンク娘が姿を消す。 それを目撃していたジュディ。ラルフの部屋を訪ねて、こう言った。 「お姉ちゃんが、人形たちに殺されたわ」 こうして、世界で一番長い夜がはじまった。

 

モンスター成分も配合されています。

モンスター成分も配合されています。


導入部から、クマのテディが凶暴化してアホ夫婦を惨殺するなど気合い充分。

それは空想壁のあるジュディの妄想で、一瞬あとにはペシッと継母に頭を引っぱたかれるのだが、まさか、のっけからモンスター風味まで味わわせてくれるとは思わず、瞬く間に世界に引き込まれてしまった。
あと、虐められても馬鹿にされても明るさを失わないジュディが、とにかく可愛い!
ものすごく可愛い! 大事なことなので二度言いましたが、ほんと、童話の中に出てくる女の子のようで、まったく現実感はないけど、作品のムードにぴったりハマって、ガラスのように繊細な主人公オーラをキラキラと放っているんですよ。

一枚の絵のような素晴らしい映像イメージ。

一枚の絵のような素晴らしい映像イメージ。


 
ほら、可愛い(しつこい)。

ほら、可愛い(しつこい)。


 
童心をもった大きなお友達のラルフもまた可愛い。いい年した小太り兄ちゃんなんだけど、ほんと可愛いの。
「いいかげん大人にならなきゃ…」なんて言いながら、オモチャ好きがやめられないとか、ちょっとこれズルくないですか!!
感情移入必須じゃないですか!!
とても他人とは思えない!!

大きなお友達のラルフですが、 ジュディを守るため勇気を出して 怖いパパに立ち向かいます。 さながら、ほんとの父親のように。

大きなお友達のラルフですが、
ジュディを守るため勇気を出して
怖いパパに立ち向かいます。
さながら、ほんとの父親のように。

 

今作に出てくるアンティーク人形たちは、ものすごく怖いけれども、けして悪ではありません。ジュディやラルフのような“童心”を持った善人はけして襲わない。むしろ、ピンチになったら助けにきてくれる正義の…というか、童心を失わぬ者たちの味方なのです。

だから、殺されるのは童心を忘れて平気で盗みをはたらいたり、善人を騙したり、子供をないがしろにしたりする残念な大人たちのみなのです。
この寓話性こそが、この作品を人形ホラーとして傑出した作品に押し上げている理由に他なりません。

はい、そこの怪獣ソフビでブンドドしてるあなた!
…あなたは死なずに済みます!

はい、そこの古いテディベアを捨てられずにいるあなた!
…あなたも大丈夫!

はい、そこの洋トイやフィギュアで部屋が埋め尽くされているあなた!
…あなたのピンチにはきっと、棚のアイアンマンが助けにきてくれることでしょう!

はい、そこで美少女フィギュアに埋もれて生活してるあなた!
…あなたも大丈夫だとは思いますが、パンツの中を覗いてデヘヘしたり、いけない用途に使用したりすると、殺される可能性が一気に浮上してきますのでお気をつけ下さい。

時には人形同志で相談しあったりして、 連携プレーで襲いかかるキラードールズ。

時には人形同志で相談しあったりして、
連携プレーで襲いかかるキラードールズ。

それでまた、このキラードールたちが魅力なんですよぉ。
パペットマスターやチャッキーほどの際立ったキャラ立ちはないけれど、非力なはずのお人形一体一体が連携して、力を合わせて襲ってくるんです。

人形がカナヅチでガンガン頭をぶっ叩き、倒れるとすかさずノコギリで手首をギーコギーコ!
振り払っても、キリや刃物を持った突撃部隊が棚の上から次々にダイブ!
ふと足元を見ると、いつの間にか忍び寄っていた二体がノコギリで足首をギーコギーコ!

ベルトとライターで応戦する強敵パンク娘には、戦闘のプロである兵隊さん人形さんたちが立ち向かう。ベルトの届かないアウトレンジから、ラッパの合図で放たれるライフルの一斉射撃!

ジュディを守る騎士(ナイト)は、 ラルフの他にもう一体いた。

ジュディを守る騎士(ナイト)は、
ラルフの他にもう一体いた。

継母を惨殺されたパパは、すっかり錯乱。
「お前らがやったんだろう!」と、凶器片手に我が子とラルフに迫る始末。その絶対のピンチに、少女を救うべく現れたのはジュディのお友達・ピエロ人形ことパンチさん!!

かっけぇ!! 超かっけぇ!! パンチさぁぁーんっ!!(失禁)

……ハァハァ。失礼しました。
殴られ気絶したラルフは、パンチが戦っているスキに他の人形たちが救出。
いろいろと至れり尽くせりでソツのない人形たちの動きには、ただただ感動するばかりであります。

特殊効果は、コマ撮りや操演が主体で、アニマトロニクスでガンガン動くチャッキーと比べると確かに古さを感じますが、かえってそれが本作の古風なムードに合致して、独特の世界観を作り上げるのに貢献しているので結果オーライ。
大作フロム・ビヨンドのすぐあと、抱き合わせで撮られたんじゃないかと言われておりますが、ゴードン監督、そのせいか逆に肩の力が抜けて、演出も生き生きと冴え渡っております。

人形の顏を破壊すると、 顏の筋肉が露出して 血が吹きだします。

人形の顏を破壊すると、
顏の筋肉が露出して血が吹きだします。

そんな感じで、あらゆる要素がすべてプラスに働いた奇跡の傑作「ドールズ」。
残酷描写もなかなか強烈で、ホラー映画としては、しっかりやることやっとります。けれど、メルヘンタッチなムードのためか、それほどエグくは感じません。
ですので……

  • ご家族での鑑賞に打って付け!(一部刺激の強い場面があります。)

コンパクトな尺に面白い要素がミッチリと詰まっているので……

  • 初心者の入門にも最適!(一部刺激の強い場面があります。)

また、今作はこれまでDVD単体では販売されておらず、抱き合わせのBOXセットも絶版になって久しいという極めて残念な境遇に長らく置かれていたのですが、この度、われらがホラーマニアックスから……ナント!ブルーレイが発売!!!

この喜び、小踊りしたくらいじゃ収まりません!
全裸で外に飛び出し、世の人々の悲鳴と警察ヘリのサーチライトを全身に浴びながら、満面の笑顔で裸踊りを舞い狂いたいくらいの喜びであります!

さあ、夏休みは家族そろって、人形ホラーで盛り上がりましょう!
 

コワ可愛いVHSのパッケージ。

コワ可愛いVHSのパッケージ。

 

 

ドールズ(1987)
[原題:Dolls]

上映時間:78分
製作国:アメリカ
監督:スチュアート・ゴードン
製作:ブライアン・ユズナ
製作総指揮:チャールズ・バンド
脚本:エド・ナーハ
撮影:マック・アールバーグ
特撮:デイヴ・アレン
音楽:ファズビー・モース
出演:イアン・パトリック・ウィリアムズ,キャロリン・パーディ=ゴードン,
キャリー・ロレイン,ヒラリー・メイソン,スティーヴン・リー,ガイ・ロルフ,
バンティ・ベイリー,キャシー・スチュアート

「ドールズ」ブルーレイは、 2013年8月2日発売

「ドールズ」ブルーレイは、
2013年8月2日発売


 
 

Written by るちお[@LucioFulci74](副部長)

 

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