28週後 

感染すると凶暴化して人間を襲うようになる
心因性ウイルス「RAGE」が蔓延したロンドンを舞台に、
感染を逃れた者たちが生き抜く様子を描いた『28日後…』の続編だね。

イギリス中で猛威をふるった「RAGE」の発生から28週間が経過し、
事態はほぼ収束を迎え、復興に向けて動いていたロンドン。
たった一人のキャリアの存在が、再びロンドンを恐怖に陥れます。
「RAGE」の感染力のすさまじさは周知のとおり。
いったいどうなることやら…

 

ウイルスの脅威の後、すべての感染者が餓えにより死に絶え、イギリス国内から「R
AGE」が消え去ると、アメリカは復興のために軍を派遣した。
「RAGE」発生から28週間が経ち、戒厳令が解かれると、海外で難民生活を送ってい
たイギリス人が帰国をはじめる。タミーと弟のアンディも、感染が始まったときスペ
インにいたためイギリスに戻れずにいたが、やっと帰国できた。感染の脅威を生き延
びた父親ドンに迎えられ、ロンドンに設置された安全区域にある新しい家に帰ると、
母親アリスの姿がない。彼女は感染者に襲われてしまっていたのだ。
母親が死んでしまった事実を受け入れるタミーとアンディ。だが二人は母親の面影を
忘れてしまうことを恐れ、生まれ育った家に「母親の写真」を取りに行くため、
こっそりと安全区域を抜け出してしまうのだった......

 

【楽しめるかも】

  • ロバート・カーライルジェレミー・レナーが好きなひと
  • ホラー映画の中にある、テーマやメッセージが好きなひと
  • 前作の雰囲気にイマイチのめり込めなかったけど、基本的に感染モノは好きだよってひと
  • 前作のファンで、雰囲気がアクションパニックホラーになっても平気だよってひと

【楽しめないかも】

  • 血まみれだったり、ぐちゃぐちゃだったり、痛そうそうだったりする映像が苦手なひと
  • 前作の前衛的な雰囲気が壊れるのはいやだなぁってひと

 

28週後3

28日後…』の続編ですね。
監督はスペイン出身のフアン・カルロス・フレスナディージョ。『10億分の1の男』が世界各国から絶賛され、アメリカではとても人気のある監督です。…まぁ、日本では未だにほとんど無名に近いので、公開時はさらに誰も知らないような監督だったんじゃなかろうか。
前作のダニー・ボイル監督と脚本のアレックス・ガーランドは、今回は製作総指揮にまわっております。音楽は前作とおなじジョン・マーフィ。『28日後…』の映像と音楽が強烈に印象に残ってる私としては、かなりうれしい。

フレスナディージョ監督は、前作の世界観を引き継ぎつつも、エンターテイメント性の高いアクションを取り入れたパニックホラーを完成させました。
前作同様に深いテーマもあるんだけど、前作と違って「問いかけ」というよりは「伝えたいこと」という感じ。それよりも、アクションや主人公たちがサバイビングしていく様子をメインに据えてしっかり描いていたので、とっても観やすい。ただ、アクションシーンが増した分、前衛的な雰囲気は減ったけどね。でも、ロンドンの街並みや特有のやわらかい光と血まみれ泥まみれの感染者という組み合わせは健在。序盤のロンドンの街並みの映し方が前作と違うせいか、近代的な部分に目が行く。それが、復興に向かうイギリスって感じですごく好き。

なにはともあれ前作より見やすいのは確か。好き嫌いは別としてね。
私は十分以上に楽しめたけど、雰囲気については『28日後…』のほうが好きだったかな。
ただ私がジェレミー・レナーすんごい好きなので、彼がちょうかっこよかったのがうれしいよね。なので、レナー好きさんにはイチオシ。

28週後2イギリスを囲い込んだことで沈静化し、死滅宣言が出されたはずの「RAGE」。
たった一人のキャリア(保菌者)の存在が、またしてもロンドンをパニックの渦に陥れる。
28週後…』は、アクション一辺倒に進んでいった某ウイルス映画と似ている部分は多少あるものの、ホラーとしての立場を忘れない。
近年稀に見る豪快なスラッシュシーンに、先の見えない恐怖とセンスある音響演出。これでもかってくらいに、生存者から希望を奪っていく。ちょうクールだ。

今作では感染者役にダンサーやパフォーマーを起用して、登場する感染者数も前作とは比べ物にならないほど多くなってる。しかもそのダンサーやパフォーマーたちを、『28日後…』にも出演していた俳優でダンサーのポール・ケーシーが振付アドバイザーとして、野性的で動物的な感染者の動きを完成させたのもいい。前作よりよりパワフルで怒りに満ちた荒々しい感染者に仕上がってるよね。ちなみにケーシーは冒頭のシークエンスで、ドンがカギを閉めた部屋のドアをバンバン叩いてる感染者の役で出演。

28週後7撮影監督はエンリケ・シャディアック。みなさんご存じロバート・ロドリゲス監督の『パラサイト』や、ベン・ヤンガーの『マネー・ゲーム』の撮影監督です。最近だとダニー・ボイル監督『127時間』で、英国アカデミー賞放送映画批評家協会賞で撮影賞にノミネートされてるんだよね。とにかく、様々なアイディアで斬新な映像を撮る撮影監督。
今回も、懐中電灯を光源とした撮影や、疑似夜景の撮影、また襲撃シーンで短いカットをつなげて感染者の視点で映像をみせる手法がとても独特で印象的。冒頭のシークエンスで、それまで落ち着いて暮らしていた人々の雰囲気が、突然の襲撃でガラッと変わる部分では、この感染者の視点の撮影方法が功を奏してるとおもう。とにかく、恐ろしさがバシバシ伝わってくる衝撃的なシーンに仕上がってる。
冒頭のシークエンスといえば、ボイル監督のエピソードがひとつあります。ボイル監督はセカンドユニットの監督として撮影に参加もしてたんだけど、この冒頭のシークエンスで老夫婦が納屋に逃げるシーンを自らカメラを持って撮影に挑んだんだよね。でも感染の恐怖を伝えるために、感染者たちに紛れて一緒に走りながら撮影をしていて肩を骨折。それでカメラを持つことができなくなっちゃったんだとか。演出にかける情熱で有名なボイル監督だけど、まさか骨折しちゃうほど入れ込んじゃうとはね、恐れ入ります。
この冒頭シークエンスは、前作と今作をつなぐ重要な部分。フレスナディージョ監督をはじめとする作り手の熱が存分にこもっているからこそ、力強くて臨場感ある映像になってるんだよね。

kinopoisk.ruさて『28日後…』と同様に、『28週後…』も現実の事件を描いた作品ではありません。でも今回、前作の世界観を広げていくにあたって、現実に即した「リアリティ」が作品の中にちりばめられてるんだよね。実際に行われる復興措置を参考にして軍の統制下にあるイギリスを描き、そこにいる兵士たちの会話にまでも気を配って、リサーチを基にしたセリフにしているんだって。
それに、感染発生から28週間が過ぎるまでの過程をテロップで表現したり、汚染された荷物を家々から運びだし郊外で燃やすといった復興作業が行われている様子を淡々と映し出す映像も、すごくドキュメンタリータッチだよね。
綿密な下敷きと演出が相まって、「感染者が人を襲って町中を走り回るような」信じがたい出来事が、現実に起き得るということを思わせる作りになってるのがおもしろい。

28週後6で、そんなリアルさがちりばめられた物語に「人間の持つ負の感情」というテーマが織り込まれる、と。
妻を見捨てて逃げてしまったドンは、罪悪感と後悔の念に苛まれてしまう。自分を見つめる妻の眼差しが脳裏に焼き付いて離れないほどの激しい罪の意識が彼を蝕む。
一方、子供たちは母を失ったことで、母の顔を思い出せなくなるのではないかという不安に悩まされた。子供たちは喪失感から安全区域を抜け出し、自宅に母親の写真を探しに行く。
その後、子供たちと共に妻が保護されたことを知ると、ドンは職務上渡されていたセキュリティカードを悪用して、妻に謝罪しようとする。こうしてこの一家の負の感情による行為は大事件を引き起こしてしまう。人間の負の感情は、感染者の持つ「激しい怒りの感情」と同じくらいの脅威になり得るんだってこと。
子供たちは自宅にたどり着き、目的の母の写真を手に入れ、それぞれが人生の再出発のために荷物をまとめた。だが、そこにはすっかり様子の変わってしまった母の姿があった。
そしてドンは長い間離れていた妻と再会、謝罪は受け入れられ、お互いの心が再び通い合った。だが妻は保菌者で、ドンは感染してしまう。
28週後11ドンの妻への罪悪感は、感染によって激しい怒りと結びついてしまう。その怒りは彼女へと向かい、彼は感染してもなお妻の瞳を直視できずに、最後には潰してしまう。
前作と明確に違うのは、ドンは感染者でありながらも、どこか人間性を残している様子だったことだよね。彼は妻を殺したあとも、罪悪感を忘れられられないのか、子供たちを追いつづける。そして妻の面影を色濃く残した息子と娘に対し、怒りをむき出しにするの。最終的に彼は娘の手にかかることで、妻を置き去りにして逃げた罪悪感から解放される。

こんな混沌とした状況に振り回されるキャラクターを演じた役者達の実力は見事としかいいようがないよね。
まず、イギリス労働階級の見本みたいなロバート・カーライル
うだつのあがらないオヤジ役がちょう似合う彼が、罪の意識に苛まれる父親ドンを繊細な演技で表現。表情一つで後悔や喪失感、罪悪感をみせる、まさに実力派。ホラー作品で、しかも感染者という特殊で激しい役柄はカーライルにはめずらしいけど、見事にこなしてるのはさすが。
28週後4
子供たちも大健闘だったね。どこか絶望感がありながらも強い意志を感じさせる眼差しが印象的なイモージェン・プーツ。個人的には半開きの口がたまに気になる女優さんなんだけど、不安な中にも覚悟をもって弟を守ろうとする姉タミー役がとてもよく似合ってた。
弟のアンディを演じたマッキントッシュ・マグルトンは、なんとこれが初めての映画出演。演技の経験はほとんどなかったそうですが、そうは思えないくらいしっかりしてたね。
母親のアリス役の、キャサリン・マコーマックは舞台を中心に活躍する大女優。感染者の群れに追い詰められ、夫に見捨てられ、まさに一度地獄をみてきた人間っていう部分にものすごく真実味があった。あの眼差しに見つめられたら、誰だって罪悪感に悩まされるってもん。
で、今回特に好印象なのが、ジェレミー・レナーだよね。スコープを通して子供たちを見るうちに、彼らを守ろうという使命感に駆られるドイル軍曹役を、力強く演じてる。当時レナーは犯罪者役が多かったころで、こういうヒーロー的な役柄はどうなっちゃうのかしらと心配だったけど、そんなのは取り越し苦労だったよね。28週後12信念と責任感のある心優しきドイル軍曹のキャラクターを、余すところなく表現してたもの。車を押しながら走るシーンはものすごく切なくてね、胸きゅんだった。カットされてしまったドイル軍曹のウインクが入ったバージョンを、たまたま観る機会があったのだけど、レナーが素敵すぎてたいへん。
そして、軍医スカーレット役のローズ・バーンも、医師としての責任感、使命感から子供たちを守ろうとする姿が健気でよかった。微妙な空回りっぽい演技が、助けたい気持ちはあるのに実力が伴ってない人間の悲哀をかもし出していたよ。

前作の世界観を広げた『28週後…』。
これ実はさらに続編の計画があるんだとか。まあ、今のところほとんど何も決まってなくて、「ロシアを舞台にする作品になるよ」ってことくらいしか聞こえてこない。このまま頓挫しちゃうのか、思い出したように製作されるのか、どうなっちゃうの。
 
28週後10
 

Written by はるひさ[@haruhisa1212](部長)
2007年11月12日 ブログ掲載

 

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