バイオセラピージャケット

サービス精神旺盛な、未来からきた殺人鬼


 

急激な生物進化を促進する脅威の薬剤「GT剤」を巡り、
謎の覆面殺人鬼によって次々と殺害されていく人々。
殺人鬼の目的は?
GT剤がもたらす恐るべき未来とは?

 

80年代から90年代にかけて、日本を席巻したホラーブーム。
話題作はもちろんのこと、何じゃコリャと目を丸くするようなキワモノどころ、マイナーどころも、トロール船で海底をさらうが如く根こそぎリリースされた奇跡の時代。

今回は、そんな魑魅魍魎のような作品群が、ビデオ屋の棚を跳梁跋扈していたカオスな時代に、「今こそ、その時」とばかり日本で製作された記念すべき邦画スプラッターを3作続けてご紹介したいと思います。
(ほんとはもっと沢山あるんですが、独断と偏見で絞らせて頂きました)

ちょうどこの頃は、ビデオの普及に伴い、各界こぞって映像コンテンツの獲得に本腰を入れ始めた頃でして。
特に出版界が、新たな才能を多く世に送り出していましたね。
鉄男』『妖怪ハンター・ヒルコ』で知られる塚本晋也監督も、8ミリ映画『電柱小僧の冒険』で、ぴあフィルムフェスティバルのグランプリを受賞し、製作資金として供与された賞金を使って『鉄男』を撮り上げたのは有名な話。

今作『バイオセラピー』では、週刊ヤングジャンプ・シネフェスで最優秀特撮賞を受賞した三木理が特殊メイクを担当。
徹底したしつこさ、ねちっこさで、ルチオ・フルチにも迫ろうかという高濃度なゴアシーンを画面上に展開しています。
脚本も同フェスで受賞した高津洋志が担当。
そこに、東映特撮でお馴染みの春田純一が主演し、特撮やテレビで知られるベテラン俳優が多数脇を固めて、ひときわ豪華なビデオムービーに仕上がっています。

さて、シネフェスで見出された彼ら、若さあふれる作家たちの演出は、どういったものだったのか…。
 

いやあ…もうね、やりたいことが前面に出ていて、実に清々しいです。
まさに、“必要以上”!と形容するしかないないほどの残虐表現の数々。
作中、時代劇や特撮でおなじみの顔ぶれが次から次へと登場するんですが、彼らの扱いがまたエグ…いや、斬新で…。

「あぁ、いきなり、あの人がこんな目に!」
(ウルトラセブンのキリヤマ隊長こと中山昭二さん…首締め及び眼球摘出)

「うそ、この人にこんなことしちゃうの…?」
(キャプテンウルトラこと中田博久さん…死闘の末、内臓摘出)

「うわーん!赤影さんが死んじゃったー!」
(赤影の坂口徹郎さん…サックリ惨殺)

思わずそう叫んでしまうほど、ベテラン俳優の皆さんが、それはそれは、ひどい手口で殺害され、惨たらしく画面上で散っていきます。
 

全ての殺人の実行者の正体は、GT剤を狙ってやってきた未来人なのですが。
こいつも、実によく分かってる奴でしてね。
特に必要ないのに、刑事から取り上げた銃でいちいち口の中を掻き回して、歯を全部折り砕いてから頭をぶち抜いたり…。
特に必要ないのに、ボコボコにしたあと指でねじねじグリグリ眼球を引きずり出したり…。
特に必要ないのに、ドテッ腹に手を突っ込んで内臓をゴッソリつかみ出したり…。
まことにサービス精神旺盛な、効率よりロマンを追求するタイプの、漢気あふれる殺人クリーチャーなのであります。

バイオ02

ほ~ら、ひどいですね~。むごいですね~。未来人やり過ぎですね~。でも、グッジョブですね

なんせね、冒頭からしてエグいんですもの。
しょっぱないきなり、中山昭二氏演じるところのGT剤研究の第一人者である博士が殺害されるんですが、首を締めただけでは飽き足りず、目に指を突っ込んで、ウギャァァとかわめいてるのもお構いなしに眼球をズルズル抉りだしたりして…。
机の上に放置された眼球をバックに、タイトルが浮かび上がったりしちゃうんですよ。

 

バイオ03

眼球タイトルバック。ビデオ編集で後付けした感じのタイトル文字がイイ感じ。

ド頭から、これはこういう映画ですよ~という警告を発した上で、この先、ますます悪趣味&やり過ぎ度はヒートアップしていくわけですね。
女研究員の胸に、割れて筒状になった試験管をズップズップと何本も突き刺し、そこから血が吹き出したり、それはそれはサディスティックな場面もたっぷり。
クライマックスの内臓引きずりのシーンなんか、リニア編集でこれでもかと内臓の出し入れをリピートして見せたりなんかして、若い作り手たちのテンションの上がりっぷりが、そのまま映像に表れていて、大変、微笑ましいです。

「ほらほら、見て見て!僕らもここまでやれるんだよ!アメリカの悪趣味野郎にも負けないよ!ヒィハー!」
「わかった!わかったから…ちょっと落ち着けオマエラ!」
とまあ、見ているこっちが止めに入ってあげたくなるくらいのはしゃぎっぷりw

「…まったく、若い奴らときたら、ちょっと目を離すとメチャクチャやりやがる」
「フッ…これからはアイツラの時代なのさ」
「…オヤッさん」
てな感じに、夕陽をバックにイイ話っぽくまとめたくなるほど、若さを原動力にした無闇やたらなパワーがやみくもにつめ込まれていて実に楽しいのです。
VHSの最後には、メイキングのスチルが多数収録されてるんですがね、みんな、それはもう楽しそうに作業してますもの。
未来人の造形がヒーロー特撮にでてくる悪役チックなのもいいの。
キャスティングを見れば、分かりますからね。
彼らが今作でやりたかったのは、「ほんとは怖い特撮怪人」なのだと。
 

バイオ04

VHSの最後に収録されているメイキングスチルも実に楽しげ。キリヤマ隊長こと、博士役の中山昭二さんが、上半身裸でアルジネイトを塗りたくられて、顔型をとられている貴重なセクシー写真も拝めちゃいます。

 

いかがです?
娯楽の王様にっかつが産みだしたにも関わらず、現在はナゼか無かったことにされているオリジナル・ビデオ映画『バイオセラピー』。
旧作の復刻に熱心に取り組むにっかつが、ナゼかスルーし続ける和製ゴアゴアSFホラー。

なんか嫌味ったらしい書き方になってますが、これを見たメーカーさんが今作を思い出してソフト化してくれたらとの願い故。漢なら、ムダだと分かっていてもやらなければならないときがあると、ハーロックも言ってました。

というわけで、海外の通販サイトではDVDパッケージを見かけるのに、日本国内ではDVD化される気配がてんで見られない『バイオセラピー』。
ビデオ屋の中古売り場でVHSを見つけたなら、即ゲットだ。
気持ち悪くてバカ強い新人類、そんな彼らが支配する未来にいきたくなっちゃうぞ。
GT剤をよこせ~(・▽・)

バイオセラピーVHS版パッケージ

最後に、VHS版のパッケージをペタリ。ホラーというより、ダークヒーロー物みたいで、やたらカッコイイです。

 
次は、日本映画が初めて挑んだ本格ゴア・クリーチャー『GUZOO 神に見捨てられしもの』を紹介しますねー。
 

バイオセラピーBIOTHERAPY(1986年)

上映時間:45分
製作国:日本
監督:鹿島章弘
脚本:高津洋志
特殊メイク:三木理
出演:春田純一,中田博久,石川裕見子,中山昭二,
坂口徹郎,野川愛,高橋利道,横山稔,荒木茂

 
 

Written by るちお[@LucioFulci74](副部長)

 

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