ジャーロ DVDジャケット

ダリオ・アルジェントが久々に猟奇殺人を題材にした『ジャーロ』。
プロデューサーのギャラ未払いに業を煮やした主演のエイドリアン・ブロディが訴訟を起こし、
DVD販売差し止めや賠償金300万ドル要求など、
渋谷のシアターNでは上映されましたが、
京都の映画館では急遽上映中止に追い込まれた不運の作品。

アルジェント自身も不本意な形で編集されてしまったため、
あまり気に入っていないのだとか・・・。

『ジャーロ』(原題:Giallo)
【2009年/アメリカ・イタリア合作/1時間32分】

【スタッフ】
監督:ダリオ・アルジェント
撮影:フレデリック・ファサーノ
音楽:マルコ・ウェルバ

【キャスト】
エイドリアン・ブロディ(エンツォ警部)
エマニュエル・セニエ(リンダ)
エルサ・パタキ(セリーヌ)

トリノの街で外国人ばかりを誘拐しては猟奇的殺人を繰り返す事件が多発。 
キャビンアテンダントのリンダは、ファッションモデルの妹が行方不明になったこ
とから猟奇殺人専門の刑事エンツォへ捜索を依頼するが、彼の身辺にも不可思議な
出来事が起き始めていた。

冒頭、観光でトリノを訪れていた日本人女性2人がオペラを鑑賞。
アルジェントは度々劇場を登場させますが、『オペラ座/血の喝采』を彷彿とさせるハイアングルでのショット。
アジア系の顔立ちをした日本人役の女性は流暢に喋りますが、 その友達はハーフなのか?日本語は喋れるけど犯人に監禁されてから「助けて!」だけを連発。
絶命間際に発した言葉をICレコーダーで録音したエンツォ警部は、知り合いで鮮魚市場に勤める日本人に訳してもらうんだけど、まぁ日本語を喋っていないのに(何語かも不明)「黄色が関係している」云々と広川太一郎ばりに意訳の嵐w
もうね『インフェルノ』のホットドッグ屋のオヤジ並みに凄い!
たぶん魔女に憑依されちゃったんだろうな~。
後ろでは板前の格好をしたおっさんが魚をさばいてるわ、“カニ”って札が置いてあるわと、テルザに続きジャポン・リスペクトなアルジェント先生。日本人にしか分からないイミフ攻撃は反則ながら妙に得した気分に浸れます♪

 

犯人がタクシーで獲物を物色する際、バックミラーに目鼻がデカデカと写る大胆な演出。
過去、目だけのクローズアップはあったけどこれは見せ過ぎじゃないか?
予想外の流れに戸惑っていると案の定、中盤で犯人が顔見せw
草履の裏みたいなブサイク顔と黄色い肌
なんと黄疸の持病を抱え、幼少期は友達からイエローと罵られたトラウマ故の犯行なのか、自分より美しいものに殺意を覚えるのか?
なんか動機が曖昧な感じがするけど心底憎めないヤツなのです。
洗面所で小便するわ、いたぶった女の画像を見ながらセンズリこいたり、日本のエロ漫画読んでムフフなんて…。
アルジェントって『4匹の蠅』『サスペリア2』の サイコパスや『フェノミナ』の奇形児とかタブーな題材を好んで放り込みますが、ヤク中でジャンキーな母親から生まれ修道院に預けられた挙句、病気持ちで不運な生い立ちの犯人が猟奇殺人を犯すなんて凄すぎる設定に、思わずゾンビ日本版予告編の「残酷馴れしたイタリア人のドギモを抜いた」が頭に浮かびましたよ(汗)

ジャーロ ポスター(シアターN)

ジャーロ ポスター(シアターN)

残念ながら殺人シーンは直接的な描写は控え目なものの、女の上唇をハサミでちょん切る場面は硬直させられます。
ハンマーで額を叩き潰したり、指チョンパも出てきますが、やっぱ特殊メイクで見応えがあるのは犯人の顔。 『バタリアン』に出てきた首を切っても暴れるハーゲンタフそっくりな黄色い肌なんですが、なんとエイドリアン・ブロディが刑事と犯人の1人2役をやっていたとは!
パンフ読まなきゃ全然気が付きませんですよこれは…。

この人、熱狂的アルジェントファンだそうで製作にも携っていますが、びっこ引いて逃げたり臭気漂うマジキチかと思うほど熱の入った演技はとても『プレデターズ』で傭兵やった同一人物と思えない迫力!
 

音楽はシモネッティを期待しましたが、聞いた事も無い作曲家ながらバイオリンやピアノを用い作品にマッチした綺麗なスコアを提供しています。
トリノの町並みも美しいですね。 袋小路みたいな場所でカーチェイスやったり、エンツォの覆面パトがアルファロメオで爆音エンジン過ぎて目立ちすぎ!彼とリンダの間にドラマチックな場面が無かったのが少し残念な気もするけど、まぁ過去があれだから…。
 

ラストは13金かと思うようなバッドエンディング煮え切らない『シャドー』のようなものかと。
とにかく後味が悪くエンドロール中に苦虫を噛み潰したような表情になってしまいます。
ジャーロ(猟奇スリラー)としてのタイトルなのか?
ジャーロ(黄色い)=犯人の黄疸を意味しているのか?
ファンなら前者として捉えると思うが、中盤でネタバレするのは推理として成り立たないので新境地を開きたかったのだと思う。
けれど一作品としては決して悪い出来ではなく、アルジェントの病的なまでのセンスは今だ健在に思える。

余談だがリンダが警察署へ訪れた際、エンツォ警部と部屋へ入る時にすれ違う男と肩がぶつかるが、その人物をアルジェントが演じていた。 「ごめん」か何か申し訳程度の台詞あり。
新作『ドラキュラ3D』が無事日本でも公開されるか楽しみに待つ事にしましょう。
 

Written by ネズミツオ[@yu131]
2010年10月10日 mixi掲載

 

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